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「って!!!何、そのお弁当!!!酒井!!!!」 さっき、私がチラ見して絶句した課長のお弁当。 私だけでなく安田さんが叫んだものだから、水谷君と佐藤係長まで見てる。 だよね。 ハート型のハンバーグだけならいざ知らず。 白いご飯に鮭のほぐした身でハートが描かれてる・・・。 ラブリーなお弁当だ。 「何って、可愛いだろ?彼女と一緒に作ったハンバーグがあったから、ご飯もデコってみた。羨ましいのか?」 いやいや、普通に引くだろ。 ドン引きでしょう。 「酒井の彼女ってどんな人よ!!!教えなさいよ。」 私の上空をいつものように、行ったり来たりする課長と安田さんの会話。 でも、いたたまれない。 課長の彼女って。 私ですよね。 「おー、彼女ね。可愛げがねーけど可愛い人だぞ。」 ドキドキしながら自分のお弁当のレンコンを食べたり、卵焼きを食べたり。 「可愛げがないとか、そういうこと言われたら女の子は傷付くわよ!!!ねぇ、新藤さん!!!」 同意を求められて、微妙な立場の私は、へらへらっと笑うしかない。 愛想笑いは社会人の処世術だ。 「へー。俺の彼女もじゃぁ、傷付いてんのかな。今度デートするとき、たっぷり、その傷を癒してやんないとな。」 バクン。 バクン。 たっぷり、傷を癒すって・・・。 「酒井、あんた、やらしーわよ。」 「やらしくねーだろ、アホ。」 どうやって癒すんだろう・・・。 気になる。 考えたらダメだ。
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