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お弁当を食べ終わって、バッグの中にしまってホッと一息。 水筒のお茶をすすっていたら、目の前の近藤君の机に斉藤主任が現れた。 ニコニコしながら現れたけれども、何か嫌な予感。 明らかに私を見てくる。 課長と安田さんの同期でしょ。 私、関係ないよね。 「新藤さん、お願いがあるんだけど。」 「断る!!!」 私よりも先に課長が答えたことにビビったけれども、私以外の人にはバカウケしたようだ。 「酒井には頼んでねーよ。」 「お前の頼みなんてろくなことがねーって相場が決まってんだろ。」 答えた課長に、うん、ろくなことがなさそうだと心の中で納得。 「今週の金曜日って暇?」 用事らしい用事なんてないけれども、ここで暇ですって言ったらどうなるのか想像してみた。 「暇じゃないです。」 「あれ、新藤さん、フラれたんじゃなかったんすか?」 あぁ余計なことばかり言ってくれる水谷君のせいで斉藤主任の目が光ったじゃん。 彼氏候補が彼氏じゃなくなったとは言ったけれども、フラれたなんて一言も言ってないってドンと強気で言えたらいいけど。 隣に課長がいて、色んな人がいるのに、そんなことが言える程、私は強くない。 「フラれたとしても、そうじゃなくても予定があることもあるの。金曜日だよ?週末だよ?金曜ロードショウをリアルタイムで見たいかもしれないでしょ!!!」 「録画しておけよ。」 課長からの痛い突っ込み。 「じゃぁ、新藤さんは暇ってことで合コンしようよ。」 「彼女がいるのに、合コンってサイテーですよ。」 「だから、その彼女と俺が幹事で。お願いがあるのは、新藤さんに俺の友達と彼女の友達をくっつけて欲しいわけ。」 意味が分からない。 物凄く意味が分からない。 「お断りします。」 しっかりと、きっぱりと断ったはずだった。
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