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1週間の真ん中水曜日。 今日も課長はいるだろうか。 そう思いながら、階段を降りて、改札の向こう側を見る。 いたいた。 今日は天気がいいし、きっと課長の顔は朝日が邪魔をして見られないだろうから。 見たくなったらバッグに忍ばせてきたサングラスを使ってみよう。 昔、ハンドパワーなあの人の真似がしたくて、親におねだりして買ってもらった思い出の品。 課長に話したら笑うだろうか。 課長になら、笑われてもいいような気がする。 「おはようございます。」 「ん、おはよ。」 二人並んで歩き出す。 毎日、朝、待っていてくれてるんだよねぇ。 課長も少しは私みたいに、来るかな、来ないかなって気持ちになってくれていたりするのだろうか。 「みゅー、あのさ、昨日な・・・。」 何だろう? 課長を見上げたら、顔が見えない。 早速、小道具の出番らしい。 ゴソゴソとバッグを漁って、サングラスを装着。 どんな顔をしてるのかと思って見たら、唖然とした顔の後、笑い出した。 「ぶっ、お前、何やってんの?」 ウケたらしい。 だからサングラスを外してみた。 「だって、課長と歩くとき、いつも課長が車道側を歩いてくれるから、顔を見ようと思っても逆光で表情が見えないから。」 歩道の中なのに、必ず、課長は車道側を歩いてる。 駅を出たときに、わざと私が車道側を歩き出しても、絶対に課長が車道側を歩いてる。 実験済みだから分かる。 「気がついてたのかよ。つーか、言うなよ。」 「ふふふっ。」 言っちゃダメだったのか。 車道側を歩いてくれてることは内緒にしておきたいことだったのか。 もう一度、サングラス越しによく、課長の表情を見てみたら、照れてる。 「見るな。しまえ。」 手が伸びてきて、昔の私の宝物が取り上げられた。 それから、強引に私のバッグの中にねじ込まれた。
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