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「もっと、大事に扱ってくださいよ、昔の私の宝物なんですから。」
「・・・。」
課長が無言になってしまった。
私、変なこと言ったかな。
「課長?」
「タカちゃんにもらったのか?」
「違います。もう、何を勝手に勘違いして不機嫌な声を出してるんですか。」
確かに、タカちゃんは幼馴染で気が付いたら、好きになってて、苦しい片思いをしたけれど。
そんな気持ちを抱く、ずっとずっと昔の宝物なのに。
ふふっ、そう言えば、タカちゃんにも自慢したなぁ。
「笑うんじゃねーよ。恰好悪い。」
「聞きます?宝物の話。」
「聞く。」
きっと、課長に笑われるだろうけど。
「昔、手品、超魔術?すごく流行りませんでしたか?」
「ぶはっ、もう分かった。お前、それの真似したくてサングラスまで用意したのかよ。」
笑い出した課長を見て、私も笑った。
「同じ髪型にして、親におねだりして買ってもらったんです、サングラス。」
物凄い勢いで笑い出した課長を見て、会社の人に見せてあげたいと思う。
「タカちゃんと弟の前で手品をしてみたりしましたよ。」
課長の爆笑が響き渡る。
朝からはた迷惑な二人にしか見えないだろうなぁ。
「あー、腹が痛い。お前、マジで面白いな。」
「ん?普通ですよ。きっと、あの頃みんな真似してましたよ。」
だって、本当にすごかったんだから。
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