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自分の気持ちと課長の気持ちの温度差を感じた水曜日の朝。 なんとかそのまま、会社に着いて、更衣室でホッと一息。 なんとなく、感じた温度差は時間が経つにつれて、確実に私の心の中にゆっくりとじんわりと広がっていってしまったみたいで、木曜日の朝、課長と歩くための電車ではなく、長年慣れ親しんだ1本遅い電車に乗ってしまった。 久しぶりに朝、名古屋駅で降りた。 人の流れに沿って、階段を上がる。 改札を抜けて、歩いていつもの交差点へ。 青信号だと思った瞬間、早歩きで横断歩道へ。 一人で歩きながら、ずっと頭の片隅にいたのは課長だけれども。 昨日の朝のやり取りで感じた違和感とか温度差を自分の中でどう消化すればいいのかも分からずに、仕事へ向かうことになった。 「おはようございます。」 いつも通りの朝に違いない。 自分の席にバッグを置いて、椅子に座った。 課長からの視線を感じなくもない。 きっと気のせい。 何も言ってこないし。 朝礼の後、課長に渡された書類の束。 課長の手書きの指示書の中に貼られた付箋。 『寝坊か?』 たった一言、書かれた言葉に、課長は課長なりに、気にかけていてくれてることがわかる。 課長がこんなことをするなんて意外過ぎて、笑いそうになった。 バカかもしれないと思いつつ、記念に付箋を剥がして自分の手帳の裏表紙に貼ってしまった自分の行動が一番バカバカしいと思う。 自分の中で感じてしまった違和感だか温度差。 どうやったら埋めることができるんだろう。 課長と二人っきりになったら、気まずいから。 でも、二人きりになるような状況にはならなければいいから。 お昼もみんなと一緒だし。 帰りは定時でそそくさと帰るし。
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