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お昼休憩にお弁当を広げながら、右側からの威圧を感じなくもないけれども。 昨日はわざとだったし、今日はわざとではないにしても、朝、一緒に来ていない。 謝罪は必要なのか、必要じゃないのか。 今夜の合コンとやらで、コソっと謝っておこう。 「新藤さん、珍しいね、それ、凄く可愛い。」 左側から安田さん。 安田さんの視線を感じて見たのは、勇気がくれたネックレス。 「あっ。」 ブラウスの下に隠れるようにしておいたはずなのに、何かの拍子に出てきてしまっていたようだ。 こそこそとブラウスの下にもう一度隠しておいた。 「何で隠すのよぉ。さては男からのプレゼントでしょう。」 左側の安田さんから感じるのは燃えるような好奇心の炎。 右側の課長から感じるのは氷のような冷たい空気。 この前、デートのときだってしてたし、何も聞かれなかったのに・・・。 「はははっ。内緒です。」 初めて、勇気がくれたお高いプレゼントだ。 初任給で買ってくれたネックレス。 課長と水谷君が彼氏だと勘違いしたあの日の夜に一緒に買いに行ったんだったなとふと思い出した。 「いやーん、もう、なにその顔。デレデレじゃない!!!」 しまった、勇気のことを考えていたら、顔がデレデレだったみたいだ。 安田さんからの好奇心だけでなく、水谷君も佐藤係長も・・・。 それから、課長のことは怖くて見られない。 「そ、そんなんじゃないですから、本当に。」 そうなのだ、そんなんじゃない。 動揺する私に畳み掛けるように聞いてくる水谷君。 「それ、彼氏候補が彼氏じゃなくなったって言ってたのと関係してますか?」 まさか、水谷君の中でこれは彼氏候補が彼氏じゃなくなって彼氏になってその人からのプレゼントだと勘違いしてるんだろうか。 「はははっ、関係ない。無関係。」 ピシピシっとラップ音が聞こえた気がする。
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