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「新藤さん、そう言えば、斉藤が今夜6時半に下のロビー集合だって言ってたよ。」 課長に話しかけられて、つい、見てしまった。 まともに顔を見たのは2日ぶりだったかもしれない。 「・・・断っておいてくださいって言ったじゃないですか。」 自分でもびっくりするぐらい冷たい声を出してしまったと思う。 空気が凍ったのを感じた。 しまった、相手は会社内では課長。 休憩中とは言え、佐藤係長も水谷君も安田さんもいるところで、物凄く冷たい声でぴしゃりと言い切ってしまった。 「新藤さん、強いわね!!!30超えた女性社員はやっぱりこうでなくっちゃ。」 安田さんの絶妙なフォローのおかげで、その場の空気が和らいだ。 助かった。 「はははっ。」 笑って誤魔化す。 社会人の処世術。 「達成会の日のこと、バラしてやってもいいんだぞ。」 げっ。 「つって、斉藤主任に脅された俺の気持ちにもなれ。新藤さんがそれだけは嫌がると思ったから口止めしておいてやったのにな。」 「それは、業務命令ですよね!!!承知しました!!!」 私の答えを聞いて、爆笑した水谷君と安田さんは放置して。 課長も笑って口だけが動いた。 『バカタレ』 あぁ、本当にバカタレだ。 ついついちょっと前にはまったドラマの決め台詞を叫ぶとか。
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