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憂鬱な気持ちにならないわけじゃない。
なんで、合コンなんかに参加しなくてはならないのか。
見ず知らずの男女がいきなり顔を合わせて楽しく盛り上がれるのは人見知りをしない人だったり、口の上手な人だったり、そういう人だけだと思う。
残念ながら、私は初対面の人とうまく言葉を交わすこともできなければ、そこにいるだけで華があっていいと言われるようなタイプでもない。
他人よりも少々場所を取るかもしれないから、存在感だけは消したくても消せない、そんな残念極まりないタイプなのだ。
更衣室のロッカーで、自分が今朝選んだ服を見て、溜息。
なんでこれを着てきてしまったんだろう。
課長も一緒なら、ちょっとは可愛く見られたい、その一言に尽きるけど。
合コンなんて行かずに、課長とロース味噌カツ定食でも食べていた方が楽しいに違いない。
溜息を吐きそうになったけれども、私の後方でお化粧直しに余念がない杉山さんの存在もあるし。
一応、私も脂ギッシュにテカる顔にあぶらとり紙で脂を取って。
ミスト状の化粧水をプッシュ。
自分のロッカーの中の充実具合が、会社での勤務年数に比例してるようで嬉しいような悲しいような。
軽く、ファンデーションでおさえて。
後は口紅とチークでいいだろうか。
色々するのは、面倒臭い。
それから、あんまりやり過ぎると面倒な上司に何か言われそうだから。
自分のバッグを持って、時計をチラ見。
まだ約束の6時半よりも時間は早い。
「新藤さん、ごめんね。今日は付き合ってくれてありがとう。」
形のいい唇に見とれる。
それから、先に謝ってさらにお礼を言われたら悪い気なんてしないし、仕方がないと思えるんだから、杉山さんはやり手だと思う。
見習わなくてはいけない。
「ええと、本当に、私は、存在してるだけでいいんですよね。この前みたいなことにはならないように十分に注意しますから・・・。」
「酔っ払っても大丈夫よ。楽しくご飯を食べましょうね。」
ふふふっと笑った顔に、あぁ、飲まされませんようにと心底思う。
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