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「眼鏡、変えたら恰好良いと思いますよ。ちょっと眼鏡、取ってみて下さいよ。」 唐突な私のお願いに、びっくりした顔をしたけれども、眼鏡を外した。 やっぱり。 「ついでに、その伸びた前髪、どけてみて下さいよ。」 右手で前髪を押さえてると、出てきたのはイケメン。 「杉山さん、本田さんって本当は恰好良いと思いませんか?」 「うわっ、本当ね!!!」 課長の前に行ってしまった日比野さんにも杉山さんが話しかけてる。 本当は恰好良いと分かった本田さんを見て、日比野さんはどう思ったんだろうか。 でも、対角線上になってしまっただろうし。 どうすれば・・・。 『これは訓練ではない、繰り返す、これは訓練ではない。』 司令長官の声で閃いた。 そうだ、男はちょっと強引な方がいいんだ。 自分勝手な男気とか、自分勝手なS男は激しく遠慮したいけれども、ここぞというときの押しの一手は必要だ。 経験はないけれども、妄想とイマジネーションなら誰にも負けないくらいの訓練を積んできた。 カルーアミルクを一気飲み。 飲んだ後で軽く後悔したけれど、これぐらいの勢いをつけなければ、本田さんに日比野さんに突撃して来いなんて言えるはずもない。 「本田さん、女の人は、少しくらい、強引にさらってくれた方がドキドキするし、嬉しいんです。吊り橋が現れないなら、自分で吊り橋を出現させるんですよ!!!いいですか!!!」 酔っ払った勢いは怖い。 素面だったら、よく知りもしない本田さんにこんなことは言わない。 「今日、ここで出会ったのは、偶然じゃなくて必然なんです!!!」 目をパチクリさせながらこっちを見る本田さんに、最後の一押し。 「見えました、本田さんは日比野さんとこの先、幸せになれるんです。今から、本田さんが日比野さんをさらったら、絶対に幸せになれます!!!運命は自分で切り開くんです!!!ほら、日比野さんの手を掴んでさらっちゃってくださいよ。」
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