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早めの会社だから、誰もいない更衣室。 あぁ、斉藤主任と杉山さんにだけは、深く反省を伝えなければ。 それから、水谷君と佐藤係長、この二人には大人の対応をお願いしよう。 いつも通りに汗を拭きとってスプレーを吹きかける。 6月になってしまったから、制服が夏仕様になる。 あぁ、腕のお肉がいたたまれない。 腕のお肉を振袖なんて表現を一番最初にした人が恨めしい。 ナイスでドンピシャだと思うけれど、自分の腕のお肉を振ってみる。 筋トレしたら、マシになるだろうか。 夏服になってしまってから筋トレしても手遅れかもしれないけれど、毎日コツコツ頑張ってみよう。 自分のバッグを持って、営業部に向かう。 「おはようございます。」 人もまばらな営業部で、まずはモズクを冷蔵庫に入れるべく、給湯室に向かう。 あっ、斉藤主任を発見。 コソコソっと斉藤主任に近寄って行く自分。 コソコソと斉藤主任に近寄る自分にカサカサっと近寄る黒光りした気持ちの悪い生き物を連想しちゃった。 でも、私はあの気持ちの悪い生き物みたいに俊敏には動けれないし、空も飛べない。 戦闘能力だけなら、私はアイツ以下だ・・・。 「あっ、斉藤主任、おはようございます。先日はとんだ醜態をお見せしてしまって、本当に申し訳ございませんでした。」 ペコペコ。ペコペコ。猛烈な勢いでペコペコ。 「新藤さん、おはよー。謝らなくていいからね。おかげで、俺、彼女ができたし。むしろ俺の渡したオレンジジュースが原因だって分かってるし、俺も反省したから。」 そう言って下さる斉藤主任はきっといい人だと思う。 斉藤主任の視線が、明らかに営業3課に向いたと思ったら、苦笑いしてる。 「君のところの課長にメールしたら返信で『アルコールを飲ませるのを見過ごしてやった俺にも感謝しろ』って書いてあったよ。」 はい? はい? はい? 課長、知ってたんじゃん!!! あれがオレンジジュースじゃないって知ってたんじゃん!!! 「はははっ、もう本当にどうか、ご内密にお願いします。」 ペコペコしまくりつつ、逃げるように給湯室に向かった。
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