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「手を合わせて下さい。」 言われてとりあえず、合わせてみた。 「いたあだきます。」 「ぶはっ、課長、日直ですか!!!三重県もそれだったんですか!!!給食の挨拶!!!」 課長のバカさ加減にウケたけど、隣から聞こえた声は恐ろしいものだった。 「課長って言いやがったな。」 し、し、し、しまったー!!! 「い、言ってないです、課長なんて言ってないです、級長って言ったんです!!!」 「ぶっ、お前さ、どうやったら課長と級長を聞き間違えるんだよっ、バカタレ。」 セーーーーーフ!!! 笑ったからとりあえず、セーーーーフ!!! 「つーか、級長って言わないだろ。戦時中の子供かよ。」 た、た、確かに、我々の時代は学級委員とかって言ってた気もするけど。 「はははっ、もしかしたら、三重県では級長って言って、脱脂粉乳とか普通に飲んでたり」 「するかよ、バカタレ。クジラの肉も食ってないぞ。」 「ぶはっ、クジラの肉!!!我々の親の世代じゃないですか、ははははっ。級長、ナイス、ジョークです!!!」 「級長を普通に使うな、冷める前に食えよ。」 「はっ!!!有り難くちょうだいいたします!!!」 ふんっと課長が笑う声が聞こえた気がする。 それから、課長のお手製の明太子スパゲッティをお箸で摘まんで食べてみた。 げっ。 普通に美味しいじゃん。 「くだらないことしてもいいですか?」 「いいけど、何する気だよ。」 「う~ま~い~ぞ~!!!このアルデンテに茹でられたパスタの麺とスーパーで買ってきた明太子の絶妙のハーモニー!!!麺に絡んだ明太子と有塩バターがう~ま~い~ぞ~!!!」 「ぶはっ、お前、本当にどうしようもないやつだな。これ、タラコだぞ。」 ガーン。 タラコだったんだ。 せっかくノリノリだったのに。 ショックで顔に縦線を描き込みたくなってくる。 いっそ、横線でもいい気がしてきた。
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