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「酒井さん、全然、見つからないんですけど・・・。」
課長はテーブルをどかしてテレビの前にでーんと横になって、リラックスしまくり。
仮にも彼女がいるのに・・・。
しかも、お菓子まで持ち込んでるよ。
「ふーん、諦めたら?俺が新しいの買ってやるし。」
にっこりと微笑まれても。
「後から、探すことにします・・・。私も新喜劇、見ようかな。あっ、お菓子もあるなら何か飲み物も。朝、飲んだココア、凄く美味しかったなぁ。もう一回飲みたいなぁ。」
さっき、食事中に胃袋を掴むとかなんとか言ってた課長だ。
きっと作ってくれるに違いない。
「へー、みゅーに甘えられるって、めちゃくちゃ嬉しいな。」
私を見て、目をパチクリした後ボソッと呟くように言いながら立ち上がった。
「待ってろ、作ってきてやるからな。」
単純だ。
課長はめちゃくちゃ単純だ。
課長にココアを作ってもらいたいみたいなことを言うのは、ちょっと勇気がいったけど、嫌な顔一つせずに嬉々として台所に向かった様子にほくそ笑んだ。
「ぶはっ、あははははははっ。」
台所から盛大な笑い声が聞こえてきた。
そうっと、台所に顔を出したら、まだ笑ってる。
「何だよ、これ。ウケた。懐かしいな。」
冷蔵庫に手帳を破ってメモを書いて貼っておいたのだ。
XYZ ネックレスを探して下さい
立派な依頼だ。
ゲラゲラ笑ってた課長が真面目な顔をして私に迫ってくる。
「みゅー、これ、探してきてやってもいいけど、報酬、知ってるのか?」
し、し、しまった!!!
昔、見たアニメの真似をしたけれど、報酬って、一発だ。
アワアワ。
「はははっ。後払いで!!!いつか結婚したらきっちり払いますから!!!」
「ふーん、まぁ、いいか。結婚の確約もできたし。」
し、し、し、しまったーーーーー!!!!
一応、結婚前提で真面目に付き合ってはいるけれど、そんな・・・。
まさか、これってプロポーズじゃないですよね・・・。
ガーン。
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