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ギュッと、腰にまわされた課長の手。
ドクンドクンと跳ねた私の心臓。
笑っていたはずだし、まだ、おかしい気持ちもあって、顔は笑ってる。
課長だって、顔は笑ってるのに、そのままグイッと、抱き寄せられた。
ゴチン。
笑ったまま、抱き寄せられて、オデコが思いっきり、激突した。
「痛いじゃないですか!!!」
「ぶはっ、いってー!!!」
二人とも、オデコを押さえて、ヒィヒィ笑ってる。
他人が見たら、全然面白くもなんともないんだろうけれど、一度ツボにはまってしまったらなかなか抜け出すことのできない笑い地獄。
ゲラゲラ笑って、ふと笑いが途切れたところで、課長の顔が迫ってきた。
さも、当然のように私の唇にキスをしてきた。
笑っていたはずなのに、一気に熱が顔に集まった。
「そんな顔すんな。やめられなくなるだろ、バカタレ。さっきみたいに笑ってろ。」
グシャグシャっと髪の毛を掻き交ぜられたその仕草にもドキドキして、なんか危険だと思った。
まさしく
『これは訓練ではない、繰り返す、これは訓練ではない』
そんな心境。
「はははっ。なんか、課長のこと、好きになってるみたいです。」
ドキドキして、胸の奥がキュッとなって、疼いた気持ちを押さえられなくなった。
言葉が勝手に溢れてしまった。
「俺も大好きだ、バカタレ。そこで課長って言ったら台無しだろ。」
摘ままれたほっぺた。
言われた言葉を反芻して、撃沈した。
「た、確かに、台無しですね・・・。」
自分にガッカリだ。
「まぁ、でも、素面のみゅーの気持ちが聞けて俺的には、アリだな。」
ふわっと笑って、またキスされた。
あぁ、ドキドキが止まらない。
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