21人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
時計台屋上には転送魔方陣が敷かれており、異界の者『あわ踊りツアー客』がお菓子を求めて現れるらしい。
「おもてなしするはずのお菓子が一つもなくなってしまったニャン!
どうするにゃ!?」
おばニャンが慌てふためく後方で、ジジとバアの二人は仲良く揃って泡噴いて気絶中。
主犯であるラグは気を病ませる素振りもなく、バアが持っていた最後のおやつをパクリと食べる。
バアが戦線離脱したことで究極のプレイから逃れたウィルは、セルフィームからのご褒美、かぼちゃぱんつに頬を擦り寄せ、恍惚な表情を浮かべている。
そんな中、セルフィームは言った。
「仕方ありませんわ、お菓子がない以上、やることは一つでしてよ」
「Happy Halloween――の逆をするということですか。
まあ、それしか……ありませんよね」
屋上の転送魔方陣が静かに座標着床の音叉を告げた。
幾つもの足音が降り立つ。
階上からぞろぞろと順番にランタンや蝋燭を手にした人影が現れる。
「Trick or Treat!」
(おやつくれないと悪戯するぞ)
あまりの威圧に皮膚をビリビリさせながら、ヌメールは笑った。
「If you can do it, fine!」
(やれるもんならやってみろ)
ヌメールは地面に落ちたとんがり帽を拾い上げ、シニヨンカバーの上に被せ、凶悪に笑った。
そんな彼の両脇には、妖艶に笑う2人の同居人の姿があった。
***
狂い咲きの月が校舎全体を照らす。
離れの天空城(難破船のごとく空をひなたぼっこしていた所を、運悪くラグに捕獲された)には、今日もカツオノエボシが肉を求めて夜な夜な徘徊しているに違いない。
この時期、星座が夜空によく映える。
中でも物珍しいあわシッシー座は群を抜いて素晴らしい。出現率はナントカ流星群並みである。
魔法学校周辺では、実りの時期を迎え、今年も農作物がたわわに実り、明日には収穫祭が行われる。
かかしが躍り、蛇が横切り、黒猫がワンと鳴く、ついでに人魚が跳びはねる――そんな無理矢理なタグの回収があってもいいじゃない。
だってジャンルは『お笑いギャグ』だもの。
その屋上の隅っこには、ハロウィンイベント作品を何とか書き終えたという達成感で胸いっぱいの作者の姿があったという。
End
最初のコメントを投稿しよう!