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水曜日の午後。雨のち晴れ。
ただいま世界史のテスト中。
窓の外をぼんやり眺めていた龍一は、宙に漂う光の細い筋を見つけた。
更に目を凝らすがそれきり見えなくなった。
興味を失った彼は机に突っ伏して寝入る。
その姿を教師は渋い顔で見つめていたが、特に何も言わず手元の資料に目を落としただけだった。
終了のチャイムが鳴るといっせいに教室のあちこちで仲間同士テストの良し悪しを探り合う会話が繰り広げられた。
全てのテストが終わったため生徒達の気分は浮き足立っていた。
龍一は興味がなさそうに教室を出て行く。
彼を気にするものは一人として居ない。
先程光の筋があった思われる場所に龍一は立っていた。
校庭の隅にある桜の木の真横。
近くで見ると確かにそれはあった。
雨に濡れた蜘蛛の糸だ。
水滴が太陽の光を反射したのだろうと納得して踵を返したあと、ふと気になることがあってもう一度振り向く。
この糸は何処から垂れてるか。
糸に沿って目線を上げていくが、それは空の彼方に続くのみだった。
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