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**悠大の場合**
終業式。
高校生になってからもう一学期が終わろうとしている。
中学のときに先生や先輩が高校生活はあっという間に過ぎると言っていたが本当そうだと思う。
校長の話か…
こういう時こそ早く時間が過ぎればいいのにと思う。
有意義な夏休みを、ね。
部活もやっていない俺にとって有意義な夏休みってどんなだろう?
バイトとかした方がいいのかな?
いや、でも七瀬との時間が減るし…
ってもう!なんでそこに七瀬が出てくるんだよ!
確かに七瀬との時間を優先したいけど…
最近七瀬のことばっか考えすぎじゃないか俺。
自問自答を繰り返していると既に式は終わっていた。
***
今日は七瀬と帰る約束をしている。
終業式しかなかったから午前帰りということで、どこか寄って昼飯を食べに行くことになっている。
一学期最後のホームルームも終わり、七瀬がいる5組へ向かう。
「ごめん、ホームルーム長引いちゃって…」
「全然。俺もさっき来たとこ。んじゃ、帰ろうぜ!」
今日もここ、星ヶ丘高校は部活で賑わっている。
こんな時間に帰っているのは夏前に部活を引退した三年生と、俺と七瀬くらいだ。
「あ、そういや昼飯どうする?」
「僕はどこでも。って、この答えが一番困るよね…。」
そう言って七瀬はどこへ寄るか考え始めた。
「おう、そうだぞ。いやー、本当困るなあ。」
「ごめんって。だから今考えてるからもうちょっと待っててよ。」
・・・。
「そんな決まらないなら俺ん家来る?あ、でも昼飯どっかで買ってからになるけど。」
「え、いいの?じゃあ、ご飯食べたら夏休みの課題もう進めちゃおうよ。」
「そうだな!じゃあ…どこ買いにいく?」
「結局決めないとだめなんだね…」
再び七瀬が考え込む。
そんなどこにでもあるようなやり取りが本当楽しい。
「梅川駅の近くに結構店あるからとりあえずそこまで行くか!」
そう言って電車に乗り込む。
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