終業式。

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「だから!その…牧田くんって呼び方になんか距離感じるなーって思っただけ!」 そうはっきり言わせるなよ…もう。 「ごめん、そういうの疎くて…。じゃあ悠大くん?」 「なんで疑問形なんだよ。ふつーに呼び捨てでいいよ…あ、聖人!」 「…悠大。なんか照れるね。」 「お、おう。でも一気に距離縮まった気するからべつにそれでいい。」 「その言い方…なんかツンデレっぽい。」 七瀬…じゃなくて聖人が笑いを堪えたように言う。 「はぁ!?ツンデレ?そんなこと初めて言われたし。」 「え、そう?悠大って時々ツンデレ発動してると思うけど。」 さらっと悠大て…なんか、いちいち恥ずかしがってる自分がガキに思える。 「まじで?そんな自覚なかった…。」 「自覚あるツンデレってもうツンデレじゃない別物だと思うよ。」 「あーだめだ、言い合っても勝てる気しない。」 「ふふ、でも楽しいね。」 「あ、俺も今それ言おうとした!」 「僕たち気が合うね。」 聖人は綺麗な笑顔を見せる。 この顔は本当に魅惑的だと思う。 「そうだな。あ、夏休みのことだけど…」 「ん?なに?」 「お盆前にやる夏祭り一緒に行かね?」 「うん、行く!」 「よしっ。じゃあそれまでに課題終わらせるつもりでいないとな!」 「そうだね。まずはすぐ終わりそうなやつを今からやろっか。」 そして課題に手をつけはじめる。 聖人を祭りに誘うこともできて、俺はもう今からわくわくしている。 課題をきりのいいとこで終らせ、帰る支度をする。 聖人を駅まで送っていく。 「今日もまた勉強教えてくれてありがとな。楽しかった!」 「僕の方こそありがとう。あと、ごちそうさま!」 「おう、また家来いよ。」 「うん!じゃあ、また。」 またLINEする、そう言って俺たちは笑い合って別れた。
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