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帰り道、きっとこれが誘える最後のチャンス。
僕はどう話を切り出そうか考えていた。
「今日も課題すごい進んだし、良かったよな!」
「そ、そうだね。あ、あの…夏祭りのことだけど…」
「え、うん。なに…?」
悠大は急に真顔になる。
僕はそれにひどく動揺してしまった。
「あ、えっと…夏祭り、の他にも…どっか遊びに行かない?!」
やっとの思いで言葉を絞り出す。
「なんだ…よかった。うん、いいよ!」
「ん?どうしたの?」
「いや、なんでもない!ごめん、変な態度とったみたいで。」
「うん?僕は大丈夫だけど…」
「あ、どこ遊びに行く?聖人、どっか行きたいとことかある?」
悠大…どうしたんだろ…。
なんか様子がおかしかった。
「うーん、とくにない…かも。」
「なんだよ、聖人から誘ってきたくせにー。」
悠大は笑いながらそう言う。いつも通りだ。
「ごめんって。ただ、夏祭りだけしか遊べないのは寂しいなあー…って。」
「まあ俺もそう思ってたし?聖人から誘ってくれて嬉しかった。」
そう言ってもらえて僕も嬉しくなった。
「あ!僕、ゲーセン行きたい!」
「え、ゲーセンでいいのか?それだと暇になるかもしれないぞ。」
「友達とゲーセンってよく行くんでしょ?それがなんか僕の中で青春って感じがして。」
「ゲーセンが青春って…安い青春だな、おい。」
「あ、馬鹿にしてるの?もう勉強教えてやらないよ?」
「いえ、馬鹿にしてません。スイマセンデシタ。」
「もういいよ。一緒にゲーセン行ったとき青春っぽいことしてあげるから覚悟してなよ。」
これじゃ売り言葉に買い言葉だ。
「おう、じゃあ期待して待ってる。」
「うん、待ってて。じゃあ日程はまたLINEで決めよっか。」
そう話して僕たちはそれぞれの家に帰っていく。
やっぱり悠大といるのは楽しい。
久しぶりに会って僕の心はすごく満たされていた。
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