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公園につくと、時計台の前にあるベンチに腰かけた。
時計は午後8時を迎えるところだ。
「俺、今日一日ずっとドキドキしてた。なんでか分からないけど、多分楽しかったせいだと思う。」
「僕も楽しかった。屋台で食べ物買ったりとか全然してないけど悠大と一緒に回れたから嬉しかったよ。」
「うん、俺も。」
悠大は目を閉じて、聖人との時間を振り返る。
本当、楽しかったな…
ふと、目を開けると聖人と視線がぶつかる。
胸が締め付けられるような痛みが悠大を襲った。
しばらく目が話せなかった。
何か話さねばと言葉を探すが、喉につまって声が出ない。
互いが目を離さず、沈黙だけが残る。
ガタッ…
どこからか物音が聞こえ、我に返る。
どうやら他にも人がいたようだ。
「…もう遅くなってきたし、そろそろ帰るか。」
「そうだね。楽しい時間はあっという間に過ぎてくね…」
少し渋るかのように二人は公園を出て、歩き始めた。
「…なんか、帰るの寂しいなあ。」
聖人が独り言のように呟く。
「そうだな。学校だと毎日顔見るもんな。でも家も近いし会おうと思えばいつだって会え…」
「っ…じゃあ毎日会えるの?」
悠大の言葉を遮り、聖人が問いかける。
「うん、会えるよ。」
「え、じゃあ明日も?!」
「いいよ。でも俺、まだ課題終わってないから勉強道具持ってくけどいい?」
「全然構わないよ。じゃあ僕の部屋でやろうよ。」
聖人に流されるがままに、明日の約束が取り付けられた。
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