1章 私の夢

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 灰色の空から真っ白な雪が降りそそぐ。 薄く雪の積もった地面をピチャピチャと音を鳴らしながら歩き続ける。 「はあー」 ゆっくりと息を吐いた。 白い吐息はふわふわと宙を舞うと、灰色の空にゆっくりと溶け込んでいく。 冬は嫌い。 雪も、白い吐息も、灰色の空も、全部嫌い。  私がさっきまで過ごしていた北原第一高校からは、いくつもの楽しそうな笑い声や部活動の掛け声が途切れなく聞こえてくる。 ふと、振り返った。 何も特別なものはない、どこにでもある平凡な高校。 勉強も、部活動も、制服も、教訓も、どこかで見たようなありきたりなもの。 だからみんな当たり前のように毎日笑顔で挨拶を交わし、誰にでも当たり前のように友達がいる。 けど、アニメやドラマで見るみんなが仲の良いクラスや、少し辛い立場の子に救いの手が差し伸べられるような青春なんてものは嘘。 いくつかのグループに分かれていて、そのグループ同士は決して交わらず、干渉せず、各々の世界で過ごしている。  私は、そんなありきたりからも外れたアブノーマル。 今日も1人、何もなかった学校生活を終えて帰路に着く。  途中でコンビニに立ち寄って雑誌を手に取った。 新しい本が欲しいな、今日は面白いテレビやってるかな、新しい漫画も欲しいな。
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