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部屋の外からものすごい破裂音が聞こえて、わたしは飛び起きた。
でも、わたしはこの部屋から出ることができない。
だから外で何が起きたのかも分からないし、恐らくこの先知ることもないだろう。
そんな中、わたしはギュッと心臓を鷲掴みにされた気がして、思わず胸元を右手で握りしめた。
どうして? なんで? こんなにも息苦しいのはなぜ?
よたよたとした足取りで、わたしは決して開くことのない白い扉の前まで歩み寄る。
外で何が起きてるの? 彼はどうしたの? あの人に会いたいよ……。
真っ白な空白だけが広がるわたしの世界に、初めて色を灯してくれた人。
あの人に会いたい。あの人はどこなの。ねぇ、誰か教えて……。
気付くとわたしは泣いていた。
初めて感じるこの感情の名前をわたしは知らない。
誰か、誰でもいいから、わたしをこの真っ白な世界から出して……お願い……。
嗚呼、小さな空が見えたあの日が懐かしい。
あの日すべてが始まって、あの日すべてが終わってしまった。
窓の外から彼が来たあの日。
あの日見た初めての空を思い出して、わたしは更に大声で泣いてしまった。
一度自由を知ってしまったわたしは、もはやこの狭い鳥籠の中で暮らすことはできない。
彼と出会い、わたしは変わってしまった。もう後戻りはできないんだ。
…………
……。
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