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一つはわたし。
もちろん肌は真っ白じゃない。ちょっと白には近いけど、白じゃない。それは分かる。でも、何色かは分からない。肌色って言えばいいのかな? 肌の色だから。
それから二つ目は届きそうにない天井にある小さな四角。
あの四角だけは、不思議なことに時間が経つに連れて色が変わるの。
今はさっぱりとした感じの色なんだけど、ある時はモヤモヤした感じの色になってみたり、またある時は目の前を両手で隠した時みたいに真っ暗な色になったりするの。
でも、一番綺麗だったのは、あの四角から射し込む光に手をかざした時に見える色と同じ色。……そう、確か『真っ赤』な色だった気がする。
わたしの部屋に置いてある二冊の絵本。その一つ『不思議の国のアリス』に出てくるインクの色に近い色。女王様を騙すためにアリスが剣に塗った血の色。
あの色がわたしは一番好きだ。
ちなみにもう一冊は『鏡の国のアリス』。そういえば、あのお話に出てくるたまご型オバケの洋服やネクタイも同じ色だったかな?
なんにせよ、これがわたしの部屋にある色のすべてだ。
わたしと、天井の四角と、そして二冊のアリス。
わたしの世界に、それ以外の色はない。
それほど色の無い世界でわたしは毎日を過ごしている。
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