前編

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 起きた時にはもう朝ごはんは机の上に置いてある。  真っ白なお茶碗に、小さなつぶつぶが沢山盛られていたり。真っ白なマグカップに真っ白な飲み物が入っていたり。  もうね、何もかもが真っ白なの。もちろん味も淡白。味気ない。というより、ほとんど味がしないものばかり。  だから、大抵わたしは真っ白なつぶつぶに塩をかけて食べて、最後に真っ白な液体を飲み干して食事を終える。  お昼だって同じ。  全く同じ料理が、頭から足元まですっぽり隠れちゃうような洋服に身を包んだ人によって持ってこられる。  もちろん興味本位で彼らに話しかけたこともあったけど、ダメね。わたしの声が聞こえてないのか、或いは話せないのか、彼らは何も答えてくれない。  ただ、本当にごく稀にだけど、「アリス、食事の時間だ」と言う人はいた。お話はしてくれないけどね。  と、だいたいこんな感じでわたしの毎日は過ぎていく。  最後に一つ。わたしは、四角がまっくらになったら寝ることにしてる。  だから、今はもう寝る時間。  わたしは朝に「おはよう」と言ったすべてに、逆の順番で「おやすみ」を言っていく。 「おやすみ、わたし」  …………  ……。
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