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見渡すと辺り流れる灯籠の淡い光が水面に反射してキラキラと輝いている。思わず、感嘆の声が漏れた。
「天の川ですか。そんな風に考えたことはありませんでした。」
河瀬くんが笑う。
「……ああ、それからひとつ、相田聡さんに逢わせる前に確認したいことがあります」
河瀬くんの言葉に、私は無言で頷く。
「死者に逢わせてあげるというのは?ではありませんが、それには対価が必要となります」
「「ちょっと待って! どういうこと」
そんなの事、私は知らない。聞いた事が無い。
「ただで逢える訳がないでしょう」
河瀬くんの薄墨色の瞳と目があう。その目は刃物のように鋭く、冷たかった。河瀬くんの言う通りだ。ただで逢える訳が無い。そんな都合の良い話がある訳が無い。
「今なら、まだ戻れる」
今までの大人びた敬語ではなかった。
「……逢わせて。彼に逢わせて」
迷いなどなかった。どんな対価であっても、私は彼に逢わなければいけなかったから。「分かりました」
河瀬くんは、小さく頷いた。
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