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私はイスを少しだけ前に寄せて
かじりつく様に窓ガラスまで顔を近づける……
あ……ユータが私の視線に気付いた……!
ハイハットと呼ばれるシンバルを締め直しながら
ユータは私に向かって、小さくVサインを送って微笑む……
やだっ……すごくカッコいい……
私は思わず顔を火照らせてうつむいた……
さっきまでのLINEのやり取りからは
考えられないほどユータは落ち着いていて
一時間前にこの場所で、恥ずかしそうに
赤くなっていたのがまるで嘘のようだった……
私とユータをつなぐ……特別な場所……特別な……部屋……
これだけの観客に埋め尽くされ
歓声だって鳴り止まないのに……
この部屋とステージをつなぐ
私たちだけの特別な「フィールド」が……
まるで止まった時の中で
二人を包み込んでくれている……そんな気がした……
心音が高鳴る……
ステージの幕がゆっくりと登り始める……
マーヴェラスのステージは
カン高い、アサキちゃんのシャウトを合図に
いきおい良く、その幕を開けた――――!
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