#2 特別な場所

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#2 特別な場所

人気のない体育館の裏口から中に入ると 薄暗い体育器具室の窓からは ほんのり太陽の光が差し込んでいた…… ユータが扉を閉めて私の……前に立つ…… 「つぼみ……おまえ……」 な、な、なになになに――――!? 思いがけない展開に私はビックリして 硬直した身体のまま目をつぶって ユータの言葉を……心待ちにした…… 「つぼみ……おまえさ……みんなと一緒に  ステージの前で……騒ぎたかったりする……?」 ………………?? えっ……なに……? なんの話……? ユータは振り返ると、おもむろに 山積みになった体育器具を降ろし始めた。 その向こうは体育館のステージと この器具室をつなぐ、扉のような窓になっていて ちょうどステージを真横から見渡せる様になっている。 「ユータ……これって……」 「いや……みんなの前じゃ言えないけどさ……  オレ……今かなり緊張してるんだよね……  もし、つぼみさえ良かったら  ここから見守っていてほしいんだ…… おまえの顔を見ればリラックス出来っかなと思って……」 ユータはうつむき加減で……頭をかきながら ちょっとだけ赤くなって……私にそう呟いた…… 私はまだ呆然としている…… 「あ、みんなと騒ぎたいならいいんだ!  でもな……でもな、ほら  ちゃんとイスだって用意してあるし  多分、立ちっぱなしで  疲れたりとかはしないと思うから……!」 アセアセしながらユータは 脇に立て掛けてあったイス そして、どこから持ち出したのか ピンクの可愛いクッションを見せてそう言った。
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