1.持論

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半導体部門は社内でも有数の実績を上げる部署。そりゃ急上昇する需要からして、他の部署より条件は遥かに良いのだ。 もちろんライバルとの闘争が熾烈で、最先端を走り続けること、どの会社にもない、つまり絶対的な位置を獲得しなければならないのは言うまでもない。 その上で、鷲尾の業績が上がるのは当然のこと、 驚くべきは鷲尾のチームの数字が飛躍的に伸びたこと、 鷲尾のチームの個人の数字、私のチームの個人数字も何かしらの原因があるとしか思えない伸びを示していたのだ。 「鷲尾、最近どうかしたの」 そういえば業績について定期的に話し合う会議が来週に迫っているなと。 数字の伸びについてどう説明しようかと。 鷲尾が頑張ったので伸びましたって言ったら、 半導体部門は環境がいいからって怠けていると言われそうだと。 浦津課長は学歴がいいからって調子に乗っていると言われそうだと。 各部門会議で女が私の他に化粧ばっちり、色気全開、ボディラインに主張をたっぷりたたえたお方が一人しかいないからって、いいように言うような人たちだからなと。 思っていたら 「ああ?」 不機嫌な俺様部下の顔が目前にあった。 「何言ってんだ?おま浦津課長」 今言い直した!言い直した!めっちゃお前って言いかけた!3分の2言った! 「本気出したら随分出来る部署だなと思って」 「は?」 「部門会議でどう言おうかと思って」 「は?」 「あの部長もそうだけど各部門の課長ランクの人間の攻撃が派手なんだよね」 「は?」 眉間の皺が濃い。 「浦津」 「なに」 「お前、経理部門の課長職の学歴知ってるか?」 何をいきなり。 「そんなの知るはず」 「ないだろ。普通課長程度で学歴知れ渡るような企業じゃねえんだよ」 それもそうだ。それもそのはずだ。企業に規模がある以上、部門同士のつながりはヒラの社員同士はおろか、課長職でもわずかにしかない。 お互いに顔と名前が一致する程度だ。 各部門の予算や業績、給料などは経理部が一任している。 各部に会計はいるものの、それは全て経理にまとめられている。 確かによく考えれば不可解なことなんていくらもある。 でも。
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