第1章

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「まあ、弥生も懲りただろうしもうそのことについては言わないけどね。ところで今度は何の花なの?」 「ふむ、今回はまた綺麗な花を見つけての」 後ろに隠していた提灯を羽之に見せる為に前に出す弥生。 「この花を使ってみたのじゃ♪」 「あー、なるほど。白くて綺麗だよね、その…マンダラゲだったっけ?」 「うぬうぬ、そうなのじゃ!この白く開いた花がかわいいのじゃ♪」 弥生の見せた提灯に入っている花はラッパのような形をした白い花だった。弥生も羽之も言うように綺麗な花だった。しかし、 「…で、花を摘んで来たまではいいとして、身体は何ともない?」 呆れた様子の羽之は聞いた。 「うむ、何ともないが…どうかしたのかの?」 キョトンとした様子の弥生は首を傾げた。 「うん、じゃあ質問を変えましょう。その花を摘んだ手で何か食べた?」 「うーむ、確か近くにあった柿の実が上手そうじゃったから食べたが…、っとと、何じゃ?何やらふらふらして…きたのじゃ…」 と、突然弥生が眠たそうにコクリコクリと頭を揺らし始めた。羽之は溜め息交じりに目頭を押さえながら、 「マンダラゲはね、チョウセンアサガオとも言ってね、その植物自体が毒を持ってて強い幻覚作用を引き起こすの。まあ弥生は、人間たちの言う妖怪だとかそういう類なんだから、直ぐに治るでしょうけど…」 と事細かに説明したが最後まで聞くことなく熟睡した弥生であった。
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