大きな変化

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俺と違ってコイツは真面目だから、授業に間に合わず、今になって狼狽えだした。 …ったく、しょうがねぇな。 コイツに対して、こんなこと言うのは気が引けるが… 「………サボれば。」 ボソリと呟くように言った。 尚翔はそれをしっかり拾っていた。 「え…」 「途中で教室入るの、気まずいだろ。サボっちまえよ。」 「………」 「…俺も一緒にサボるから。」 「!!」 思いもよらない(であろう)俺からの提案。 尚翔は再び目を丸くして俺を見た。 「嫌ならいい。」 「っ…嫌じゃない!」 引き下がろうとした俺を、尚翔がいつもより大きな声で制した。 「嫌じゃ、ない。嫌なワケない…」 「………」 「先輩から誘ってもらえるなんて思わなくて……すごくビックリしただけで……嬉しい。」 「別に誘うとか…………ハァ…もういい。」 確かにこれは…誘ううちに入る…のか? ………入るかも。 でも多分。 俺も、そのつもり、だったと思う。 多分だけどな。 「行くぞ………尚翔。」 「! ……うん。」 尚翔の声は、嬉しそうだった。
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