562人が本棚に入れています
本棚に追加
気になっていたことを訊ねる。
尚翔はキョトンとした顔で俺を見たが、あ、と理解したように微笑んだ。
「そんなことないよ。むしろ心配されてる。」
「心配…」
「さっきの自販機の時もだし、おれが先輩の所から戻ってくると、何もされなかったか?っていつも言われる。」
そう話す尚翔は、ちっとも嫌そうじゃなく。
おかしそうにクスクス笑っていた。
「でも最近は皆も諦めてるみたい。実際おれ、先輩に何もされてないし。」
「………」
そう言って尚も笑う尚翔に、俺の胸中は複雑だった。
何もされてない、ね…
一度だけ、無理矢理キスはしたけどな。
コイツの中でソレは、“嫌なこと”ではないんだろう。
それとも、好きだからこそ赦せるとかいうものなのだろうか。
そんな純粋な奴を、俺の傍においていいのか…
最初のコメントを投稿しよう!