562人が本棚に入れています
本棚に追加
拾うとそれはやはり手紙だった。
白い封筒の中に、恐らく便箋が入っている。
この御時世に手紙か…
いや、何でこんなものがここに?
そもそも最初からあったか?
「先ぱ………、っ!」
尚翔が俺の手にある手紙を目にした途端、血相を変えた。
端から見てもわかりやすい程、顔を真っ青にしている。
「…先輩…それ、返して…」
「あ? お前のか?」
「ん………」
俺に向けて差し出される手。
ただの手紙に興味もなかったから、俺は言われるがままその手に渡した。
返されたソレを、尚翔は素早く鞄の中に入れる。
「…そんなに必死に隠さなくても、別に興味ねぇよ。」
「………うん。」
その様子に微かに違和感を抱くが、敢えて気にしないフリをする。
「おーーーーっす!! 潤!! あ、尚翔クンもう来てる~♪」
微妙な空気を突如ぶち壊した魁斗の乱入に、尚翔はほっとした笑みを浮かべた。
「あれ、潤その焼きそばパン、もしや購買の? さっき行ったら売り切れてたんだよ~~~」
「欲しいのか?」
「え、くれんの?」
「………」
尚翔が悲しげな顔で俺を見上げた。
そんな目で見られてもな…
いやまぁ俺も、尚翔が俺にと買ってきた物を易々と他の奴に譲るのは癪だ。
「やっぱやらねぇ。」
「えっ! んだよ、期待させんなよぉ!」
うん、いつも通りだ。
最初のコメントを投稿しよう!