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もちろんそんな奴はいない。
強いて言うなら、
……今、俺の目の前にいる奴なんだが。
「あっ……………………………」
不意に尚翔が声をあげた。
下駄箱のロッカーの1つを開けた尚翔が、その中を凝視している。
「どうした?」
「っ……何でも、ないよ。」
俺の問いかけに、あからさまに動揺する尚翔。
…まさか…
立ち尽くす尚翔に近づく。
それに気づいた尚翔は慌ててロッカーの扉を閉めた。
「…なんで閉める?」
「………」
俺の問いに、尚翔は答えない。
尚翔が何を隠したか、大方予想はつく。
俺は無理矢理尚翔をどけると、たった今尚翔が閉めたロッカーの扉を開けた。
「先輩っ──────」
尚翔の制止する声も無視して。
俺はその中にあった物────靴の上に置かれた封筒を手に取った。
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