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尚翔の言葉に、俺はその頼りなさげな姿を見つめた。
『知られたくなかった。』
…どうして俺は、その言葉にショックを受けているんだ。
「なんで知られたくねぇんだよ。」
「それ、は………」
「コレを俺が見て、俺がお前を嫌うとでも思ったのか?」
「そうじゃない…」
「じゃあ何なんだよ。」
「先輩…………怒ってるの……?」
「っ!」
───ハッとした。
いつの間にか熱くなってしまっていた。
よく考えたら、特に相談されてもいない部外者が自ら首を突っ込んで、当事者を問い詰めるとか…
どんだけ自己中だよ、俺。
しかも、他でもない尚翔を…
いや。
尚翔だからか。
「…怒ってねぇよ。ただ………」
取り敢えず便箋を封筒に戻す。
けれど本来の受取人である尚翔に渡すことはしない。
本人の目の前で、その忌々しい手紙を握り潰した。
「……………心配、だったから。」
「え………?」
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