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誰かに対してこんな風に思うのは、今までなかった。
尚翔が初めてだ。
尚翔だけが。
「付き合え、なんて……言うワケねぇだろ。」
そんなこと、言わない。
言わないし、思わない。
俺は尚翔の頭に手を回し、僅かに引き寄せた。
尚翔は驚いたのか、されるがままになっている。
「暫くは、1人で行動するな。」
「え…」
「気になることがあれば……俺に言え。」
「!」
「突き放したりしねぇから。」
「………」
「俺はもう………お前に離れてほしいなんて全く思ってない。傍にいていい。だから…少しでも危険だと思ったら、すぐに俺に言え。」
恐る恐る俺を見上げた尚翔。
その頬は朱色に染まっていて。
泣きそうで、けれど嬉しそうに微笑んでいた。
「…本当、に?」
「俺がこんなこっ恥ずかしいセリフ、嘘で吐くと思うか?」
「フフッ…ううん、思わない。ありがとう先輩。」
「はぁ……取り敢えず帰るぞ。」
「うん。」
そう言って歩き出した俺の隣に、尚翔が並んだ。
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