魔の手

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「………チッ」 思わず舌打ちが出る。 本当に胸糞悪い。 『不良に脅されて』だと? 『仕方なく』だと? 俺は尚翔に強要した覚えはないし、むしろ離れてほしいと思っていたくらいだ。 “確かに端から見れば不良のパシりにされる高校生”の図に見えなくもない。 見えなくもない、が………やっぱり何も知らない第三者から憶測で物を言われるのは腹が立つ。 しかも。 「…何だコレ。携帯の…番号?」 手紙の一番下に書かれた数字の羅列。 明らかに携帯電話の番号だった。 「コイツの番号か? ここにかけろってか。」 「違う…」 「あ?」 「それ………おれの、番号…」 「………」 絶句した。 尚翔の? 何でだ? 普通なら(コレは普通ではないが)、自分に連絡してほしくて自分の番号を書くんじゃないのか? いや、それよりも…
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