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* * * * *
「西崎尚翔君……だよね?」
そう話しかけてきたのは、顔も知らない男子生徒。
…正確には、顔は見たことがあるかもしれないけれど、全く記憶に無い顔。
西崎尚翔と呼ばれた相手───つまりおれは、名前を呼んできたその人に振り向いた。
「えっと………」
「あ、僕、2年の朔原 凜太郎。よろしくね。」
「はぁ…」
2年、ということは、潤先輩と同学年。
とは言え、知らない上級生に突然話しかけられて「よろしく」と言われたところで。
…戸惑いしか無い。
───けれど。
「手紙………全部読んでくれた?」
放たれた一言に、心臓が凍りつく。
今、
手紙って──────
朔原と名乗ったその人は、一見無害そうな笑みを湛えておれを見ている。
“手紙”
その単語を聞きさえしなければ。
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