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「好きだよ、西崎君。」
「っ…やめて…」
「どうして? 僕が好きだって言ってるんだよ? あの不良からも守ってあげられるんだよ?」
「おれは…望んであの人の傍にいるんです…」
「───“望んで”?」
おれの言葉に、おれの手首を掴む朔原先輩の手がびくりと緩む。
その隙に振り払おうと試みるも、許してはもらえなかった。
「“望んで”………そんなワケない。君が“望んで”あんな奴と一緒にいるなんて有り得ない。そんなのは幻想だよ。ただの自己暗示だ。君が無理矢理自分に言い聞かせてるだけなんだよ。」
「違う……話を、聞いてくださいっ…」
「怖かったよね。でももう大丈夫だから。おれが君を、恐怖の日々から救ってあげるから。」
「いっ…!」
ギリ……と強く掴まれる。
掴まれている部分に激痛が走る。
痛い。
痛くて───怖くて、思わず目を瞑った。
「尚翔?」
その時。
大好きな人の声が…聞こえた。
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