魔の手

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そっと身体を離し、尚翔の顔を見つめる。 尚翔の頬は紅潮し、その双眸は揺れている。 「頼っていいの…?」 「ああ。」 「そんな…甘えるようなこと…」 「甘えていい。」 「…っ…先輩…」 ────これ以上、好きにならせないで…──── か細い声で、尚翔がそう言った。 その言葉に、胸が高鳴る。 今の今まで目を背けてきた感情が、もう限界まで来ている気がした。 ────……愛おしい。 すんなりと落ちてきたその一言は、俺に腹を括らせるには充分だった。 愛おしい。 大切だ。 守ってやりたい。 …手放したくない。 もう、充分だろ? 俺は…尚翔を好きになってしまった。
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