562人が本棚に入れています
本棚に追加
魁斗が呆気にとられた顔で俺を見た。
俺の口から出たまさかの返事に。
「えっ…と? 潤、もっかい言ってみ?」
「二度も言うか! もう行く。また明日な。」
慌てる魁斗を置き去りに、俺はそそくさと教室を出た。
───尚翔の教室に着くと、そこにはまだ何人か残っていた。
その中に尚翔もいて、俺は内心安堵した。
俺の姿を見て、それまで談笑していた奴らが一瞬にして静かになる。
視線が突き刺さる。
好奇と恐怖の混じったそれらには慣れているから、普通にスルー。
俺はまっすぐに尚翔を見据えて言った。
「尚翔。行くぞ。」
その瞬間、俺に注がれていた視線が一斉に尚翔の方へ移る。
尚翔はおずおずと席を立ち、俺の元に歩いてきた。
「お……お疲れ様、です…」
「…ん。」
無意識だろうが、上目遣いで見上げてくる尚翔。
…反則だと思った。
不覚にも可愛いと思ってしまった自分もキモい。
最初のコメントを投稿しよう!