魔の手

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その夜。 珍しく魁斗から電話がかかってきた。 『潤聞いてくれよ! 今日ゲーセン行ったらカワイー女の子にUFOキャッチャーお願いされて! 獲ってあげたらお礼にっつって逆お持ち帰りされちった!』 「………」 何だその報告。いらねぇ。 無言で通話を切ろうかと考えていると、 『あっ! 潤切ろうとしてんだろ! 待て待て、その子から超気になるコト聞いたんだって!』 魁斗の慌てた声がそれを制した。 『昼間に潤が話してた、尚翔クンのストーカー。お持ち帰りされた女の子、元同級なんだってよ!』 「………あ?」 聞き捨てならない情報だった。 …そういえば魁斗にも一応話しておいてたな。 くだらない電話をしてきたと思えば、予想の斜め上の報告。 そんなところで繋がりが増えるとは思わなかった。 『中学が同じだったっぽいんだけど、なんか騒ぎ起こしたかなんかで停学になったことあるらしいんだよ。』 「騒ぎ…」 『後輩の男子に無理矢理迫って怪我させたらしい。運よく通りかかった他の奴に見つかって、ソイツの所業が白日の下に晒された…ってワケ。フツーなら退学モンだけど、義務教育だから停学がやっとだったらしいぜ。』 ………。 暫し、絶句。 過去にもやらかしていたことにも、その過去も相手が同性だということにも。 そしてそんな奴が、よりによって同じ高校に進学してきていたことにも。 …よりによってアイツに…尚翔に目を付けたことにも。 何だソレ。 何つー確率だよ。 そんな奴が、尚翔に触れる… 考えただけで膓が煮え繰り返る。
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