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『中学で懲りずに、今同じコト繰り返してるぐらいだ。尚翔クン、相当やべー奴に目ェ付けられたもんだよ。』
本当、全くだ。
思わず深い溜め息が出た。
…やっと、アイツへの気持ちを認めたのに。
いきなりコレかよ。
いや、むしろあの朔原とかいうストーカー生徒がきっかけで認めたのか。
何とも癪な話だ。
とにかく今は尚翔を守らなければ。
『なぁ潤。このままただお前が尚翔クンにべったり貼り付いてるだけじゃ、解決しねーんじゃねーの?』
不意に魁斗が真剣な口調でそう言ってきた。
「…何が言いたい。」
『ん~…あんまこんなコト言いたくねえし潤キレるだろーけど。何か一悶着起こした上でガツンと一発ヤっちまった方がよっぽど早ェ気がすんだよな。』
「一悶着?」
魁斗の言わんとしていることを察し、スマホを握る手に力がこもる。
『そのストーカーに、尚翔クンを………まあ、“接触”させる、とかな。』
“接触”…
敢えてぼかしたつもりだろうが、俺の苛立ちを煽るには充分だった。
「ふざけてんじゃねぇ。俺が…そう簡単にアイツに触れさせるとでも思ってんのか。」
口から出た言葉には、自分でも驚く程怒気を含んでいた。
魁斗に苛立ちをぶつけるのが間違いだと、理解はしている。
魁斗が言っていることも。
それでも、耐えられない。
俺以外の奴が、尚翔に触れるということに。
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