理由が無くても守れる権利

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「先輩、おはよ。」 「…おう。」 翌朝。 校門でばったり遭遇。 登校する時は他の生徒も同じ時間帯に登校してくるから、俺は一緒ではない。 尚翔曰く、『流石に周りに人がいる中で危害は加えてこないし、何より潤先輩にそこまでしてもらうのは悪い』だそうだ。 そうなんだろうけど。 俺としてはやはり心配なワケで。 だからいつもより早めに家を出て、校門の前で待機。 …ん? もしかしなくてもストーカーと変わらないんじゃねぇか?コレ。 「先輩、こんなとこでどうしたの? 誰かと待ち合わせ?」 「……あー……」 そんな俺の思惑を知る由も無い尚翔は、不思議そうに訊いてきた。 じわじわと羞恥が込み上げる。 「先輩…?」 純粋無垢、という熟語がぴったりの尚翔の双眸が、まっすぐに俺を捉えてくる。 ここで言わせようってか… ああクソ、コイツに惚れたばっかりに、柄にも無いことをしてしまう自分を呪いたい。 「………お前を待ってた。」 ぼそりと呟くように言うと、尚翔が目を瞠るのが見えた。 「え…」 「これ以上の質問は無しだ。行くぞ。」 強制的に会話を断ち切り、踵を返した。 『心配だから待ってた』なんて、言えるか。 …本当は素直に言えればいいのだが、生憎あそこで素直になれる程、俺は純粋にはできていない。
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