562人が本棚に入れています
本棚に追加
「────は…?」
昼休みになり、尚翔の教室へ赴いたものの、尚翔は居なかった。
出入口の近くにいた奴を捕まえて居所を訊くと、
「に…西崎なら、2年の人に呼ばれて出て行きましたけど…」
呼ばれて出て行っただと?
「…1人でか?」
「はぁ…」
「そうか…わかった。」
どうしてだ。
あれほど1人で行動するなと言ったのに、どうして1人で行ったんだ。
心配なのに。
心配だと言った筈なのに、アイツは俺を信じてないのか。
『おれは大丈夫だから。』
信じてないから、ああ言ったのか。
あれはやはり、俺を拒絶する言葉だったのか。
『先輩は、先輩のしたいようにして…』
俺のしたいように?
だから、してるんだろうが。
お前が大切だから。
お前が好きだから。
今程、お前の考えていることを知りたいと願ったことはない。
周囲の視線を気にも留めず、手当たり次第教室を捜していく。
居ない。
どこにも。
2年の奴が呼びに来たということは……100%、あの朔原とかいうストーカーだ。
念の為2年の教室も当たってみたが、朔原が何処へ行ったのか知る奴はいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!