562人が本棚に入れています
本棚に追加
「────尚翔っ!!」
空気を引き裂く程の怒声。
おれも朔原先輩も、動きを止めて声がした方───乱暴に開けられた、倉庫の扉の方へ振り向いた。
助かった、と思うと同時に。
更に絶望的な気持ちになった。
「………じゅ…ん…先輩……」
息を切らせ、肩を上下させた潤先輩が、そこに立っていた。
潤先輩は、おれの上に朔原先輩が跨がり、おれの上半身が裸なのを目にするや、怒りに顔を歪めた。
「て…めぇ…何してんだっ!!」
怒声と共に潤先輩が突進してきた。
そして朔原先輩が動く前に、朔原先輩を殴り飛ばした。
一瞬でおれの身体が軽くなる。
潤先輩はおれの前を通り過ぎ、地面に投げ出された朔原先輩の前に立った。
そしてその胸ぐらを掴むと、
「────ッ」
朔原先輩の頬に、拳を叩き込む。
「う"っ…」
倒れこんだ朔原先輩の腹に、今度は蹴りを入れた。
「ごほっ!」
朔原先輩の苦しげな呻き声に、呆然と見つめていたおれはハッと我に返った。
最初のコメントを投稿しよう!