理由が無くても守れる権利

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殺伐とした空気を一気に壊すような、あっけらかんとした声がした。 潤先輩でも朔原先輩でも、勿論おれでもない。 でも、明らかに知っている声。 「魁斗?」 何故か魁斗先輩がいた。 潤先輩の驚いた顔を見るに、潤先輩も魁斗先輩がここにいる理由を知らないようだ。 魁斗先輩は、おれの格好を見て一瞬眉をひそめ、それからまたおどけた表情になった。 「ここの高校に、君の中学時代の元同級も入学してるの、知ってた?」 「…え?」 思いもよらない、魁斗先輩のセリフ。 「…それが何だ。」 「君が中学時代に起こしたストーカー事件を知ってる奴がいるってこと。」 「………」 「ソイツの証言1つで、君の立場も充分不利になり得るんだよ?」 「………」 「それに俺、他にも君の中学時代知ってる子と知り合いだし、番号も交換してっから。尚翔クンも含めて3人も証人がいれば充分デショ。」 どれも初めて聞く情報だ。 饒舌な魁斗先輩を、朔原先輩は苦々しく睨みつけている。
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