理由が無くても守れる権利

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* * * * * シャワーの音が静かに漏れてくるのを、俺は無言で聞いていた。 シャワーを浴びているのは、尚翔。 あれから俺は、まだ学校が終わっていないにも拘わらず、まっすぐに帰宅した。 尚翔も、伴って。 一刻も早くあの場から立ち去りたかった。 尚翔をあの場に居させたくなかった。 俺と尚翔が2人きりになれる場所に行きたかった。 「潤先輩…あの…」 「シャワー。浴びてこい。」 「………はい…」 俺がピリッとした雰囲気を醸し出しているのを感じた尚翔は、素直に言うことを聞いた。 そして今に至る。 …イライラする。 俺以外の奴が尚翔に触れたことも。 あれだけ言ったのに警戒心を持たなかった尚翔にも。 …結局、完全に尚翔を守れなかった自分にも。 あの朔原とかいう男が尚翔に跨がっているのを見た瞬間、血の気が引いた。 そして尚翔の上半身が裸なのを見て、一瞬にして頭に血が昇り、沸騰したようになって。 身体が勝手に動いていた。 気がついたらアイツを殴り飛ばし、蹴りつけていた。 尚翔が止めなければ、それこそ顔の原型を留めないくらい痛めつけていたかもしれない。 …それでもよかった。 尚翔の言った通り、殴られただけで済んだのだから、アイツはまだ運が良い。
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