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絞り出したその一言に。
俺の、尚翔への想いが詰まっていた。
尚翔は黙ったまま、じっとしている。
「俺はお前が好きだ。」
もう一度告げ、尚翔の髪を梳くように撫でる。
すると、尚翔の身体がぶるりと震えたのがわかった。
「嘘…」
「嘘でこんなこと言えるか。」
「おれを………慰めようとして、そんな………」
「尚翔。」
なかなか信じようとしない尚翔を、強い口調で遮る。
尚翔の気持ちはわからなくもない。
ずっと突っぱねていたのは他でもない俺なのだから。
「多分、もうかなり前から、お前のこと意識してたと思う。でも、認めたくなかった。大切な奴を作る気はなかったし、まして男なんか………
あのストーカー野郎のことを知ってからだ。お前を、誰にも触れさせたくねぇと思い始めたのは。」
ふと言葉を切り、俺は尚翔の耳元に唇を寄せた。
そして耳のすぐ横に、軽く唇を押し当てた。
尚翔の身体が、ぴくりと跳ねる。
「アイツがお前に触ってんのを見た時も────今日、お前の上に跨がってんのを見た時も、怒りでどうにかなっちまいそうだった。アイツを殺してやりたいと思った。ストーカーだからとかじゃねぇ。俺以外の奴が、お前に触れるのが、どうしようもなく…許せなかった。」
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