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尚翔はキョトンとした後、
すぐに真っ赤になった。
これが普通の反応だ。
あんなことがあった後で、自分の欲望を晒すなんて。
俺は獣か。
キスをしたせいで止まらなくなった。
ずっと押し殺していた情欲が溢れ出した。
荒れて自暴自棄になっていた頃の俺なら、求められれば応えていた。
そこに気持ちが無くとも、身体を重ねるのは簡単だったから。
それももう、昔の話だ。
「………嫌なら、拒否れ。無理に抱いて、お前を傷つけたくない。」
尚翔は目を瞠って俺を凝視していた。
何を思っているのかわからない。
ただ、そこに拒絶の意思が無いのだけはわかった。
「…いいよ。」
か細く告げられた応えに、今度は俺が目を瞠る番だった。
「尚翔…」
「先輩になら、いい。ずっと………願ってたことだから。」
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