理由が無くても守れる権利

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尽きることの無い、恋人への欲情。 ──…身体が熱い。 身体の奥で灯った熱は、今や全身に広がっている。 もっと満たしたい。 満たされたい。 今にも暴れだしそうな欲望全てを、俺の愛撫で蕩ける尚翔へぶつけてしまいたい。 ずっと重ねていた唇を名残惜しげに離す。 ナカを掻き回していた指を抜くと、俺は逸る気持ちを抑えながら腰を寄せた。 「尚翔…」 尚翔の耳元に唇を近づけ、囁く。 「挿れる…から…」 掠れる声でそう告げた俺は、 「っ、く…ッ」 「あ───…」 熱く滾った己の欲望を宛がうと、慎重に埋めていった。 思っていたより、キツい。 初めてだと言った尚翔の身体は、確かに怯えていた。 それでも、必死に俺を受け入れようとしているのがわかる。 「~~~~~~っ」 尚翔が声にならない声を上げた。 「尚翔…痛いのか?」 「っ、い……いたく、な…ッ」 …嘘だ。 本当は、痛いに決まってる。 隠しきれていないのに隠そうとする尚翔が、愛おしくて堪らない。 俺は痛みに耐える尚翔の頬にキスをした。 「悪ィ、尚翔。俺はお前が大切だ……けど、止めてやれねぇ。」 「…ハアッ………せ、ん…ぱい…」 「好きだ、尚翔……好きだから………」 自分の口から漏れる、情けなくも懇願するような言葉。 ふと見下ろした先にいた尚翔が、ふわりと微笑んだ。 「おれも…好き………だから…………止めないで…」
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