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自分の咄嗟の行動に、俺自身戸惑ったけれど。
その戸惑いは、すぐに確信に変わる。
今、この手を離したくない。
もっと一緒にいたい。
コイツへの想いを自覚してから、どんどん欲張りになる。
「…尚翔。」
「…先輩…?」
不思議そうな顔で俺を見上げる尚翔を、自販機に押し付ける。
そして───キスをする。
薄く目を開けて目の前の尚翔を見ると、尚翔は恥ずかしそうに目を瞑って俺を受け入れていた。
時と場所を考慮し、あまり深くまでは探らない。
軽く舌に触れ、擽るように絡める。
「……ッ…」
やばいな。
これ以上は。
最後にその下唇を優しく噛んで、そっと離れた。
「……ハアッ……せんぱい……」
「してぇから、した………嫌だったか?」
「ううん……びっくりはしたけど……嬉しい。」
この返答は、予想の範疇。
なんて、自惚れかもしれない。
それでも、俺の求めに対して尚翔が拒絶しないこともわかっていた。
だから。
「尚翔。今日も、俺んち……来るだろ。」
俺の誘いに、尚翔が頷くのも、わかっていた。
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